全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「そうよ! 結婚したくないならしないでもいいし、運命の相手が見つかれば結婚してもいい。籍を入れてもいいし、事実婚でもいいじゃない?」
美知留ちゃんが人生全般について語ったのに、由華さんが再び話を結婚のほうへ戻してしまう。
たしかに多様性の時代だもの。どんな人生を送るかは自分次第だ。
仕事一筋でやっていく、と今の段階で決めてしまうのは、それこそ自分自身で一定の枠に閉じ込める行為だろう。
「でもね、郁海には魁くんっていう年下のイケメンがいるのよ~」
由華さんは面白がって美知留ちゃんに話したのだけれど、美知留ちゃんの反応は、それがどうしたのか、といった感じで非常に薄かった。
「郁海さんに年下の彼氏がいても全然おかしくないよ」
「違うの、彼氏ではないの!」
由華さんが要らぬ火種を落とすものだから、私はなぜか必要以上に焦って火消しに追われる。
「付き合ってはいなくても、毎日のように連絡してくるんでしょ? 向こうは郁海に夢中なんじゃないの?」
その由華さんの発言には、私は大げさなくらいに大きく首を横に振った。
「魁にはほかに好きな子がいるみたいです。この前駅で見かけましたから。十歳年上の私が恋愛対象にはなりえませんよ」
「もう~、郁海! 年齢を気にするのはやめようって、さっき話したばかりでしょ!」
「そ、そうなんですけど……」
若い子には敵わない。私がそう思ってしまっているのは事実だ。
なにかをやってみようという冒険心も、エネルギーも足りない。
ましてや年下と恋愛関係に踏み切るには、自分の中の劣等感が大きく邪魔をしてくる。
美知留ちゃんみたいな人は、なにを小さなことで悩んでいるのかとあきれるだろうけれど。
人生の停滞期に悩みは付き物だ。
この日、居酒屋で偶然出会った美知留ちゃんと仲良くなり、その後も連絡を取り合うようになった。
どこで“人の縁”が落ちているかわからないから、人生は不思議で面白い。
美知留ちゃんが人生全般について語ったのに、由華さんが再び話を結婚のほうへ戻してしまう。
たしかに多様性の時代だもの。どんな人生を送るかは自分次第だ。
仕事一筋でやっていく、と今の段階で決めてしまうのは、それこそ自分自身で一定の枠に閉じ込める行為だろう。
「でもね、郁海には魁くんっていう年下のイケメンがいるのよ~」
由華さんは面白がって美知留ちゃんに話したのだけれど、美知留ちゃんの反応は、それがどうしたのか、といった感じで非常に薄かった。
「郁海さんに年下の彼氏がいても全然おかしくないよ」
「違うの、彼氏ではないの!」
由華さんが要らぬ火種を落とすものだから、私はなぜか必要以上に焦って火消しに追われる。
「付き合ってはいなくても、毎日のように連絡してくるんでしょ? 向こうは郁海に夢中なんじゃないの?」
その由華さんの発言には、私は大げさなくらいに大きく首を横に振った。
「魁にはほかに好きな子がいるみたいです。この前駅で見かけましたから。十歳年上の私が恋愛対象にはなりえませんよ」
「もう~、郁海! 年齢を気にするのはやめようって、さっき話したばかりでしょ!」
「そ、そうなんですけど……」
若い子には敵わない。私がそう思ってしまっているのは事実だ。
なにかをやってみようという冒険心も、エネルギーも足りない。
ましてや年下と恋愛関係に踏み切るには、自分の中の劣等感が大きく邪魔をしてくる。
美知留ちゃんみたいな人は、なにを小さなことで悩んでいるのかとあきれるだろうけれど。
人生の停滞期に悩みは付き物だ。
この日、居酒屋で偶然出会った美知留ちゃんと仲良くなり、その後も連絡を取り合うようになった。
どこで“人の縁”が落ちているかわからないから、人生は不思議で面白い。