再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
母は気だけでなく体も弱い。父の庇護のもとで生きてきた人だ。
だから、父に逆らうことはできない。
そんな母にイライラしたが、今はわかる気がする。
みんな強い訳じゃない。そういう人だっているのだ。
『ごめんね、祥』
その言葉が母の想いの全てだ。祥の心の中にあったわだかまりは、徐々に消えていった。
新幹線の中で紙袋を開けてみる。懐かしい母の手料理のお弁当だ。
母が走ったからか、お弁当の中身は偏っている。
祥は高校生の頃、いつも母手製のお弁当を持って行っていた。祥がカバンを雑に扱うので、お弁当を開けるといつもこんな風に端に寄っていたことを思い出す。
懐かしい。
祥はクスっと笑った。
久しぶりに帰る祥のために、作ってくれていたのだろう。
おかずが好きなものばかりだ。
新幹線の中で泣きながらお弁当を食べると、確実に『訳ありの女』と思われる。
そう思われたくないので、祥はグッと堪えた。
久しぶりに食べた母のお弁当は、今まで食べた中で一番おいしかった。
家に帰って、両親に会ってよかった。
お腹にそっと手を当てる。
この子が、そのきっかけを作ってくれたのだ。
ありがとう。
祥は優しく撫でて、感謝した。