再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

     *


「あるく、あるく、どこまでもー」
つむぎは大きな声で歌っている。

今は自転車だけどねー、と思いながら祥はのんびりと自転車をこいでいた。

今日は終業時間ギリギリにお客様の対応が入り、お迎えが遅くなってしまった。制服のまま慌てて託児ルームに駆け込んだ祥に、つむぎは「ママー、おつかれさま」と言って抱きついてくる。
あのね、あのねとその日あったことを一生懸命話す様子を見ていると、それだけで幸せな気持ちになった。

十月に入ると、七時の時点でもう真っ暗だ。
そんな中をチャリチャリとリズムよくこぎながら、今日は久しぶりに楽をするかと思い立った。

「つむ、今日は遅くなったから、マスターのところでご飯食べちゃおうか」
「わーい!つむ、オムライス!」

つむぎはバンザイをしながら喜んだ。


祥たちは、今、『珈琲』の二階に住んでいる。
なるべく頼らないようにしているが、帰りが遅くなってしまったときには、一階の店に寄ればご飯を食べることができるので大助かりだ。

< 48 / 135 >

この作品をシェア

pagetop