再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
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「あるく、あるく、どこまでもー」
つむぎは大きな声で歌っている。
今は自転車だけどねー、と思いながら祥はのんびりと自転車をこいでいた。
今日は終業時間ギリギリにお客様の対応が入り、お迎えが遅くなってしまった。制服のまま慌てて託児ルームに駆け込んだ祥に、つむぎは「ママー、おつかれさま」と言って抱きついてくる。
あのね、あのねとその日あったことを一生懸命話す様子を見ていると、それだけで幸せな気持ちになった。
十月に入ると、七時の時点でもう真っ暗だ。
そんな中をチャリチャリとリズムよくこぎながら、今日は久しぶりに楽をするかと思い立った。
「つむ、今日は遅くなったから、マスターのところでご飯食べちゃおうか」
「わーい!つむ、オムライス!」
つむぎはバンザイをしながら喜んだ。
祥たちは、今、『珈琲』の二階に住んでいる。
なるべく頼らないようにしているが、帰りが遅くなってしまったときには、一階の店に寄ればご飯を食べることができるので大助かりだ。