一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
「ああ……いきなり殴ってくるなんて、兄さんらしくなかったね~」
「手を出したのはすまなかった。だが、お前は裸だったし紗羽が……」
「やだな、兄さんは弟と妻を信じてないんだ」
話の途中で翔が割り込んできた。イライラとした口調だ。
翔の声の向こうで、早口の英語が聞こえる。友人だろうか、賑やかな雰囲気が伝わってきた。
弟がすっかりトラブルを忘れて自分の世界で楽しんでいるかと思うと、匡は怒りがこみ上げてきた。
「あんな姿を見せられても信じろっていうのか!」
穏やかに話そうと思っていたが、やはり怒鳴ってしまう。
「紗羽さんと話した?」
「いや、お前から事実を聞いてからだ」
「順番が違うよ。それに、事実もなにも、兄さんがはなから信じていないことが問題なんじゃない?」
「だが……」
「妻を疑ってかかるなんて、サイテーだね」
捨て台詞のようなひと言を残して、電話は一方的に切られてしまった。