一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ

「あ」

言葉より先に、匡に抱きすくめられ口を塞がれた。
それがなんなのか、紗羽が理解するのに少し時間がかかってしまった。

匡の厚い胸、力強い腕、彼の好きなコロンの香り……そんなものが一気に紗羽を取り囲んだのだ。
そして、貪るようなキス。
唇を強く吸われ、息苦しさにむせそうになると今度は彼の舌が紗羽の口腔に侵入してくる。

(熱い……)

彼の体も唇も舌までも、熱を持って紗羽に絡みつく。

それが嫌ではないのだ。
逆に歓びを感じて、紗羽は彼の動きに自然と答えていた。
彼が好むように、彼も感じるように……かつてと同じ情熱で彼を求めそうになったとき、我に返った。

「だめ……」

紗羽の拒否する言葉に驚いたのか、匡は少し離れた。
紗羽が力任せに彼の胸をぐっと押しやると、匡は辛そうな表情を見せる。

「すまない、また順番を間違えた」
「謝らないで……」
「だが、まず謝らないと君と話すことができそうにない」

「なにを言ってるの?」

あなたの謝罪は受けたくないと言いそうになって、紗羽は口を閉じた。
言ってはいけない言葉のように思えたのだ。




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