一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ


匡は山根に後のことを丸投げすると、紗羽を誘って飛行場のパーキングに止めていた愛車に向かった。

「大丈夫なんですか? お疲れではありませんか?」
「ああ、早くふたりきりになりたいんだ」
「匡さんたら」

助手席に紗羽を乗せると、匡はエンジンをかけて車をスタートさせる。

「このまま、軽井沢まで飛ばすぞ」
「え?」
「三時間はかからないだろうから、大丈夫だ」
「大丈夫って言われても、なにも用意していなくて……」

突然に言われた紗羽は焦ってしまう。ホテルに荷物もあるし着の身着のままの状態だ。

「三船がなにもかも準備してくれているはずだ」
「三船さんが?」

「きっと君は帰ってきてくれると信じていたから、頼んでおいた」
「匡さん……」

彼の強引さが、今は嬉しかった。

「なにもかも用意してくれているはずだ」
「どうして、軽井沢に?」
「新しい出発に相応しいだろう? これからハネムーンだ」

安定した走りを続けながら、あっさりと匡が告げる。

「は、ハネムーン⁉」
「ふたりにとって、結婚してから初めての旅行になるからな」

匡は紗羽の肩を抱き寄せて頬に短いキスをする。

「飛行機の中でずっと思っていた。もし君に会えなくなったらと思うと……」
「あなたになにかあったらと思うと……」

ふたりは同時に気持ちを伝えあっていた。

「愛してるって、何度伝えても足りないかな?」
「何度でも言ってください。私も同じだけ返すから」

お互い前を向いているが、匡が笑っているのが紗羽にもわかった。

「今夜は寝かせてやれそうにないな」
「もう! 匡さんたら……」



明るい笑い声が車内に満ちた。
紗羽はもう、明日からのことを考えていた。
匡の妻として、森末紗羽として生きていく明日のことを。





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