一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
匡の方を振り向くと、かすかに口角を上げている。
昔から意地悪な時に彼がよくする表情だ。
「あなたのことをたくさんお喋りしてたから、揺れても気分が悪くならなかったし、気が紛れたわ」
「私のこと……?」
「いいダーリンね。あなたのことを一番に考えてくれている」
「部長」
「その顔は、答えが見つかったのね」
「はい。新しい生活を彼と始めたいと思っています」
「私としては残念だけど……」
「いえ、会社も辞めないですむ方法を探します」
「ああ。いいわね。こっちに異動願いを出すとか」
「はい!」
元気に答える紗羽をブラン部長は抱きしめてくれた。
「ご無事でよかったです、部長」
あらためて紗羽が部長の無事を喜ぶと、ブラウン部長も微笑んだ。
「ありがとう、スズハ」
「本社からの連絡で、帰国の日程は少し伸ばして休養を取ってからにするようにとのことでした」
「あら、助かった! 二日ほど伸ばしたいわね」
「そのようにホテルと帰国便の手配をします」
「モリスエ。あなたの妻は優秀よ」
「ええ、私が愛した女性ですから」
平然とした顔で答える匡に、ブラウン部長は少しばかり引いていた。
「じゃあ、スズハ。あなたもダーリンとゆっくりしてね!」
「ありがとうございます、部長」