もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
 最初はぽつぽつと話すばかりだったシエルにしては、ずいぶんと早口で勢いがあった。だが、残念なことに想いを告げられたグランツの思考が追いついていない。

 彼はシエルの背に腕を回すと、ためらいながら抱きしめ返した。

「私でよければ、いつまでもそばにいよう。……これではどちらが求婚したのかわからないな」

 グランツに答えをもらったシエルの頬が、一瞬で薔薇色に輝いた。城できれいに磨かれたのもあり、本来の洗練された美しさが余すことなくさらけ出される。

(うれしい)

 シエルは頬を緩ませてグランツの手を取ると、彼の指先にそっと唇を押し当てた。

 グランツがぎょっと顔を強張らせる。

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