もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
「リンデンを含め、他国にはほとんど流れない。ミウル草を使用した薬も、その辺りの刺客では簡単に手に入れられない高価なもののはずだ。資産に余裕のある上位の貴族か、あるいは……」

「──ラベーラ様」

 鑑定を終えたシエルがかつての親友の名を呼ぶ。その顔は血の気を失って青白くなっていた。

「そうだわ、どうして気づかなかったの……」

「なにか思い当たることがあるのか?」

 グランツが明らかにおかしな様子のシエルを心配して肩を抱き、優しく問う。

「以前にもセニルースで似たような事件があったのです」

 シエルは恐ろしい事件についてよく覚えていた。

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