もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
(どうなるかと思ったけれど、この子がいてくれるなら大丈夫かもしれない。少なくとも、たったひとりでいるよりは……)

 彼女は心細さを紛らわせるように、獣のやわらかな毛並みに顔を埋めた。

「私もセニルースには戻れないの。ここで一緒に暮らしましょうか」

 ラベーラという話し相手がいないのは寂しいが、親友のためにならないのなら、ここでひっそりと生きるしかない。

 彼女は魔獣を従え、人々が近寄らない煤の森の奥へと足を踏み出した。



* * *



 名もなき魔女が煤の森に居着いて、三か月近く。

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