もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
 気遣いをうれしく思うシエルだが、そこまで気にするほどのことでもないだろうという気持ちもある。

「お茶を召し上がるのでしたら、今日こそ中に……」

「気持ちだけありがたくいただいておこう」

 別にいいのに、とシエルは心の中でこっそり思った。

(私を妻にしたいと言うのに、この方は無理に距離を詰めようとしない。触れようとしたことだって、一度も……)

 グランツはシエルに対して慎重すぎるほど慎重に、そして紳士的にふるまった。

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