もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
 グランツがシエルに好意を抱いているという前提はあるにしても、彼のもともとの性格が優しく気遣いにあふれているのだと考えるのは難しくない。

「私はラベーラ様に騙されていたんでしょうか」

 実の親に見世物として酷使されていた頃と、ラベーラのもとで過ごした十年。生活する場が違うだけで、求められていたことは変わらない。

 もっと早く気づけたはずなのに、シエルは考えもしなかった。

「……すまない」

 グランツは目を伏せて、短い謝罪の言葉を述べた。

「貴女を傷つけるつもりはなかった」

「わかっています。……グランツ様はそういう方ではありませんから」

< 78 / 477 >

この作品をシェア

pagetop