もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
 またあなたに会えるなら、とシエルは心の中で付け加える。

「ではいろいろ持ってくる」

「はい」

 自分の胸を片手できゅっと掴んだシエルは、心臓がひどく高鳴っていることに気づいた。

 思えば、グランツとこんなに近づいたのも、服とはいえ触れたのも初めてだ。

「お気をつけてお帰りくださいね」

「ああ、ミディイルにも言っておく。貴女も私がいない間に怪我などしないよう」

 グランツの手がシエルの頬に近づくも、少しさまよっただけで触れずに離れていく。

 ほんの一瞬、二人の間に今まではなかった甘い空気が流れた。

 しかし、グランツが立ち去ったせいですぐに消えてしまう。

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