記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
「…ミホ」
そう呟いた時だった。
「お嬢様、ここからでは危険です!!」
「大丈夫よ!私にしっかり捕まって、ミルフィー!」
崖の上から聞き覚えのある声がしたのは…。
俺は上を見上げる。
見上げたと同時に崖の上から誰かが降りてくる…というより落ちてくるのが見えた。
「はっ…?!」
そして俺がそう言ったと同時に地面に着地したのはーー。
「…ミ…、ホ?」
俺が毎日毎日…忘れることが出来なかった彼女だった。
俺はビックリして腰が抜け、その場に崩れ落ちた。
我ながら情けない。
でも……。
「なんで…ここに…っ。それにその姿は…っ」
長かった金色の髪は肩までの長さにバッサリと切られてあった。
そして前よりもどこか生き生きとした瞳。
「大丈夫ですか?」
そう言ってニコッと手を差し伸べるのは…。
「名前は?私はミホナ。ここへは私の"大切な人"を探しにやってきたの」
と彼女は言った。
俺はそっとその手を掴んで…。
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