記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
ほんの数秒で光は消え、私はそっと手を離した。
手を離すと私はすぐに傷が治っているかの確認をした。
「うん、大丈夫みたいですね!」
見た感じ、先程の傷は見当たらない。
ちゃんと成功したみたいでよかった。
するとドミー君のお母さんは私の手を掴み、涙を流しながらこう言った。
「ミホ様、ありがとうございます!!」
震えながら…涙を流しながら…。
そう言っていた。
「ミホお姉ちゃんすごい!ミホお姉ちゃんは天使様みたい!ありがとう!」
ドミー君は目をキラキラさせてそう言ってくれた。
天使様…か。
なんだか嬉しいな。
私は胸が温かくなった。
「どういたしまして」
私はニッコリと笑って言った。
そして私とドミー君達はそれぞれ別れた。
クロさん…どこにいるのかな?
だいぶ離れたところに来てしまった…。
見つけられるかな?
もしかしたらもう宿に戻っているかもしれない……。
「……」
私は走り出す。
クロさんはきっと私を置いて宿に1人で戻ったりする人じゃない!
< 13 / 132 >

この作品をシェア

pagetop