記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
あと…5mしかない?
「わかりました!それからドラゴンの羽の付け根に深い傷がありました!」
私は頑張ってクロさんに届くように声を張り上げる。
ドラゴンはきっと私がいることに気づいたのだろう。
それで暴れ出したんだ。
「私はその傷を治療します!…なるべくドラゴンを罠にかけないようにしてあげてほしいんですが…できますか?」
クロさんは少しの間を開けていた。
クロさんの表情ここからは見えない。
でも恐らく、考えてくれてるんだろう。
それに…もっと時間をかけてくれと言っているようなものだ。
あと5mの距離まで来ているから難しいことはわかっている。
でも…ドラゴンをこれ以上暴れさせる訳にはいかない。
この国も守らなきゃ!
「わかった!できるだけ時間を作る!なるべく早くしろよ!」
「ありがとうございます!」
私はなんとバランスを保ちつつドラゴンの羽の付け根まで行く。
「ふぅ…。今、治しますからね、ドラゴンさん」
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