記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
そう楽しそうに、嬉しそうに言ったお嬢様。
髪色と瞳の色は先程おっしゃっていた桃色になっていた。
髪は肩くらいの長さ。
瞳はあの時とは違うどこかキラキラとした目をしていた。
「私は、冒険者になろうと思うの」
「冒険者ですか?」
「うん!」
お嬢様は生き生きとしている。
よかった……。
こんなお嬢様の姿を見れて…本当によかった。
「ちょくちょく手紙を出すわ!」
そう笑顔で言ったお嬢様に私も笑顔で返した。
「はい、楽しみにしております」
「それじゃあ行ってくるわ。…元気でね、ミルフィー」
泣くのを我慢しているお嬢様。
私も涙が溢れそうだ。
でも…。
「行ってらっしゃいませ、シュティーナ様」
笑顔で見送らなければ。
…シュティーナ様、どうかお幸せに。

それから1ヶ月が経ってもお嬢様から手紙がくることはなかった。
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