記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
私は嬉しかった。
いつまでもこんな毎日が続けばいいな。
そう願わずにはいられなかった。

クロさんと別れ、私はベッドの上に腰掛けた。
「ミルフィーに手紙を書かなきゃ」
手紙を送ると言って私はまだ1枚も出していない。
きっと心配してる。
でも……。
「どうしてお父様達が私を探しているの?」
いつも私を褒めてはくれず、少しのミスを指摘するばかり。
そしてやってもいないことを信じ、私に暴力をふるった。
私のことはいらないはずなのに……。
形だけの捜索なら1ヶ月くらいでいいはず。
なのに今もまだ捜索は続いている。
「…何かあったのかな?」
私が戻っても王位継承権はお兄様にある。
私は特に何もないはず。
だから捜索を続ける必要はないはずなのに。
「はぁ……」
わからないことばかりだ。
時間が許す限り私はーー逃げ続ける。
あの家族達から……。
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