記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
でもね…もう決めたの。
「私はそれでも行きます。クロさんは私にとって大切な人…ですから!」
「ミホ……」
私は女将さんに微笑んだ。
「女将さん、ありがとうございました!また…何かあった時はお願いしますね!」
女将さんは涙を流した。
女将さんにはすごいお世話になった。
別れるのが惜しいな。
また…会えたらいいな。
その時は……本当の私…シュティーナ・ウル・キャベンとして。
「行ってきます」
私は女将さんにまたぺこりと頭を下げてから宿を出た。
クロさんを助ける。
それが私の役目。
「待っててください、クロさん」
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