記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
『クロさんは会ったことはないのですか?』
と質問する。
するとクロさんは少し間を開けてから答えた。
『……会ったことはないな。遠くから一瞬だけ見ただけ』
『そう、なのですね…』
私も……会ってみたいな。
どんどんシュティーナ様への思いは膨らんでいくばかりだった。

いつも通り、依頼をこなしている時だった。
『った……!』
倒した盗賊が最後に数本ナイフを投げつけた。
クロさんはそれに気づくのが遅れてしまった。
そのためクロさんの体には腕や頬、そして脇腹に傷ができた。
『クロさんっ!!』
私はすぐにクロさんの元へと駆け寄る。
『大丈夫ですか?今、治しますから!』
私はすぐに回復魔法のヒールを使った。
みるみるうちにクロさんの傷は消えていった。
『ありがとう、ミホ』
『いえ……、お役に立ててよかったです』
回復魔法を使えることが私にとっては1番嬉しかった。
クロさんを助けられるから。
『クロさんが困ってたり、助けを求めたら私はいつだって駆けつけます!だからちゃんと頼ってください!』
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