記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
私は笑顔で言った。
クロさんもふっと笑って。
『ありがとう。俺もミホが助けを求めたらすぐに、どこにいても駆けつける』
そう返してくれた。
そのあともたくさん依頼をこなしていった。
クロさんといる時、私はとても幸せでいつも笑顔が溢れんばかりだった。
クロさんは何もなかった私にたくさんのものをくれた。
たくさんの幸せを……。
困った時は助けてくれた。
辛い時は隣で励ましてくれた。
どんな時もクロさんは私のそばにいてくれた。
だからね、クロさん。
『…さよなら、ミホ』
さよならじゃなくて……ちゃんと言って欲しかった。
助けてって。

王都になんとか着いた。
私はすぐに私の大切な人…クロさんを見つけた。
私は息を大きく吸って、叫んだ。
「クロさんっ!!!」
その声はちゃんとクロさんに届いたみたいだ。
よかった……。
クロさんの周りにいた騎士達は剣を抜き、私の方に向けている。
そしてその奥……扉の近くには……。
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