ブルー・ロマン・アイロニー


アズラは子守り用アンドロイドだった。


シングルマザーだったお母さんがナナちゃんのためにと買ってきたアンドロイドがアズラだったらしい。


小さいときからずっと一緒にいて、自分のことをいつもお世話してくれて。

ともすればお母さんよりも長い時間を共にしたアズラに対して好意を抱くのはそう遅くはなかった、と。


ナナちゃんは自分の初めての恋心を自覚して、だけどそれを喜ぶことはなかった。

そのときにはすでに、人とアンドロイドが恋をするなんてありえないと、わかっていたから。


ナナちゃんは成長していくのと共に、世間の常識や反対に可笑しいことを学んでいった。

そうして、自分がアズラに対して抱いている感情を恥じるようになる。

大きくなっても子守りアンドロイドを連れ歩くことも。だから周りには愛玩用だと言っていた。


人間を好きになろうと努力はしたけれど無理だった。

同性でも、異性でも、結果は同じだった。

自分はアンドロイドしか好きになれないんだ、って。

それを知ったときのナナちゃんは絶望したらしい。


それでも、アズラを愛する気持ちはなくなるどころか、どんどん強くなっていった。


いろいろあって家では下手なことはできないから、と。

ナナちゃんは放課後、人のいない教室でアズラとの逢瀬を重ねるようになった。


そのときナナちゃんは中学生だった。


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