ブルー・ロマン・アイロニー
それを教室まで持ち帰って、プリントを自分の席に置いたわたしに話しかけてくれる人はいなかった。
やっぱりそうだよなあ、とわかっていながらも悲しくなる。
ナナちゃんと瑠衣ちゃんはクラスでも派手で目立つタイプだった。
物語の世界から飛びだしてきたような美しさを誇るナナちゃんは、どことなくアンニュイな雰囲気をも持ち合わせる美人な女の子。
一方、瑠衣ちゃんはナナちゃんと毛色が違って、コロコロと変わる表情がとても可愛い。わたしには少し厳しいけれど、ナナちゃんに対する友情は本物だ。
時折、ふたりを見てて思うのだ。
あのふたりで完結したような世界に、彼女たちの世界に、わたしは一生入ることはできないんだろうな、と。
そして、なんでわたしなんかが入ってしまったんだろう、と。
鈍くさいにもほどがある。
クラスの人たちはそんなナナちゃんと瑠衣ちゃんの醸し出すオーラに気圧されているようだった。
誰もが遠巻きに彼女たちを眺め、動向をうかがっている。
そして金魚のフンのように、彼女たちの後ろをついて回っていたわたしにも、誰も声をかけてこなくなった。
今だって、ほら。
みんな、わたしとは目を合わせないようにして、そそくさと教室を出ていってしまい。
ものの数分で、教室に残っているのはわたしだけになってしまった。