ブルー・ロマン・アイロニー



わたしがアパートの最寄り駅についたのは、日没がせまる時間帯だった。


結局ひとりで作業を終わらせたわたしに、担任の先生は「ふうん根性あるわね」といった顔をして、ご苦労さまとねぎらってくれた。ちっとも嬉しくならなかった。



「ふわぁ……」


ホームに降りたって、思わず大きなあくびをしながら階段をあがっていく。


朝、あんなことがあったばかりだというのに。

自分でも危機感がないと呆れてしまうほどふらふらとした足どりになってしまう。


だけど眠いものは眠いのだ。

今日だってろくに睡眠をとれていない。



学校から数駅離れたこの西区は少しばかり治安が悪い。

廃墟や工場が他の区に比べて多く、輩のような人たちもわりによく見かけた。


ろくに調べることもなく、駅から徒歩5分のアパートを決めてしまったわたしの落ち度もある。

だから文句は言えないし、いつもなら日が完全に落ちる前にアパートへと帰るところだけど。


今日はまっすぐ家に帰る気になれなかった。

むしろ、なんだか投げやりになっていた。


なにを急ぐことがあるんだろう。

ただいまを伝える相手が待っているわけでもないのに。

おかえりって迎えてくれる人がいるわけでもないのに。


わたしの足は自然と、アパートとは逆の方向へと進んでいた。

まるでなにかに導かれるように。


行く先にはわたしの影だけがゆらゆら、不安そうに揺れていた。


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