破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜
ふふっと意味ありげに微笑むラウィーニアは、手紙裏に書かれている差出人の名前に見当がついているようだ。
「……ランスロット・グラディス」
彼の真面目で几帳面な性格を表すように、飾り文字の隅にまできっちりと美しい線で名前が書かれている。
「ほらね。絶対にそうだと思った。告白したんだし、当然かしら。きっと何かのお誘いね……それで彼は、なんて?」
私は好奇心に目を輝かせるラウィーニアに促されるままに、チャールズの差し出したペーパーナイフで手紙の封を開けた。一枚の手紙に書かれている初めて見る彼の文字は、美しいけれど……。
「……どの夜会に出席されますか?」
「それで?」
「それだけ」
頷いた私がそう言って一文だけ書かれて署名のみの手紙をさっさと封筒に仕舞うと、きっと後に続くはずの甘い言葉なんかを期待していただろうラウィーニアは顔を顰めてがっくりと肩を落とした。
「流石は氷の騎士。素っ気なさは、噂に違わずね。ディアーヌ、どうするの?」
「どうするって……」
「……ランスロット・グラディス」
彼の真面目で几帳面な性格を表すように、飾り文字の隅にまできっちりと美しい線で名前が書かれている。
「ほらね。絶対にそうだと思った。告白したんだし、当然かしら。きっと何かのお誘いね……それで彼は、なんて?」
私は好奇心に目を輝かせるラウィーニアに促されるままに、チャールズの差し出したペーパーナイフで手紙の封を開けた。一枚の手紙に書かれている初めて見る彼の文字は、美しいけれど……。
「……どの夜会に出席されますか?」
「それで?」
「それだけ」
頷いた私がそう言って一文だけ書かれて署名のみの手紙をさっさと封筒に仕舞うと、きっと後に続くはずの甘い言葉なんかを期待していただろうラウィーニアは顔を顰めてがっくりと肩を落とした。
「流石は氷の騎士。素っ気なさは、噂に違わずね。ディアーヌ、どうするの?」
「どうするって……」