【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 カリーネは立ち上がると、慣れた手つきでお茶を淹れ始める。どこに何があるのかなんて、とっくの昔に把握していた。そして、ラーシュが戸棚の中に焼き菓子をしまっておいていることも。
 カリーネがお茶の入ったカップと焼き菓子をトレイにのせて、ソファに戻る。
 ソファはテーブルを挟んだ向かい側にもあるのに、最近のラーシュはカリーネの隣に座ってくる。だから、今も隣にいた。カリーネが向かい側に移動しようかとも一瞬考えたが、お茶の時間だけ場所を変えるというのも、どこかわざとらしい感じがする。

「どうぞ」

「ああ、ありがとう」

 カリーネはゆっくりとカップを持ち上げて、湯気が漂うお茶を飲む。その瞬間、チラリとラーシュを盗み見したが、彼に気付かれてしまう。

「どうかしたのか?」

「いえ。ただ、最近、ラーシュさんの距離が近すぎると思うのですが」

 カリーネが気になっていたのは、彼の距離。ここ最近、とにかく近い。今も近い。

「ああ、やっと気付いてくれたのか? まあ、俺もそう思っている」

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