婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「そうだよ。だからどの国もリテ皇国と上手くコミュニケーションが取れなかったが、ベルジェは難なくリテ皇国の言葉やマナーを習得したんだ。独学で言葉を覚えて、数ヶ月の留学で完璧にマスターした」
「……すごい」
「僕はベルジェを尊敬してる。本人が鼻にかけていないだけで彼は天才だよ」
「そうなんですね……」
「…………惚れた?」
「誰にですか?」
「マジか……」
「???」
リロイとルビーは目を合わせて苦い表情を浮かべた。
しかし明らかにリロイの「惚れた?」は、ジュリエットに向かって言っているような気がしたが、先程のベルジェは「好きな人が居る」と言っていたが、リロイはその人物を知らないのだろうか。
「先程、ベルジェ殿下は好きな方がいるって言ってましたけど、リロイ様は知ってますか?」
「あー…………うん、知ってるねぇ」
「ルビーお姉様は?」
「あっ……えっと、何度か殿下にお話を伺った事があるわ」
「……ふーん、どんな人なんだろう」
「「…………」」
リロイとルビーは再びチラリと視線を合わせた。
容姿端麗、運動も出来て知識も充分……地位、名誉、全て兼ね備えているこの国の完璧過ぎる王太子は、なぜか好きな人に振り向いてもらえない。
それはベルジェのジュリエットに対する控えめな態度と曖昧すぎる言葉にも原因があるのだろうが、側から見ていると余りにも不憫で焦ったいと思った。