婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
『キャロライン王女殿下は以前の方が輝いてみえました』
『本当にこのままリロイ様に媚びるようなやり方でいいのですか?』
『わたしはキャロライン王女殿下の事が心配なのです』

そう言ってキャロラインを惑わせていた。

まるで二人がいい方向に向かうのを引き留めるような言葉。
二人もアイカを信頼しているからこそ揺らいでしまうのだろう。
『大丈夫』そう、励ましたとしても疑念を膨らませるだけだった。
大きくなっていけば、それを元に戻すことは出来ない。

有り得ない事であっても、一歩進めた筈の恋の勢いを止めてしまう。
そして不安を煽るやり方に怒りが込み上げてくる。
人の幸せを親切を装いながら潰していく。
そんなアイカのやり方が好きではなかった。


「…………随分と、調子に乗っているじゃないの」

「アイカ様こそ、化けの皮が剥がれてますよ」

「……生意気ね。わたくしを敵に回すと後悔するわよ?」


そう言ったアイカは此方をギロリと睨みつけている。
その表情に再びニコリと笑みを返した。


「何の事でしょうか?私、何か失礼な事を言いましたか?」

「フフッ……」

「……」

「…………今日は失礼するわ」
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