婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
そしてその時、リロイにおだてられるまま本音をポロポロと漏らしてしまった事があった。
リロイの可愛らしい外見と口車に乗せられて、誘導されているとも知らないまま自分の価値をアピールしていた。


「君はさ、自分が一番じゃないと気が済まないんだね……アイカ嬢は他人の不幸が嬉しいタイプかな?」

「え…………?そ、そんなことありませんわ。リロイ様は冗談ばっかり」


動揺してしまい、どう弁解するか考えているとリロイの低く恐ろしい声が耳元に響いた。


「もし、キャロラインに何かしようとしたら許さないから」

「……ッ!」

「この予想が、杞憂に終わる事を願うよ」


冷や汗がタラリと流れた。
この時に、初めて失敗してしまったのだと気付いた。
そこからリロイに対して強い苦手意識を持っていた。
キャロラインと少し話す間でも、リロイの視線を感じていた。
ルビーと同じようにしたら潰されてしまう。

我儘王女として『自分から』振る舞わせるしか道はないと思った。
それならリロイも文句は言えない。
少しずつ少しずつ蝕んでいき、彼が嫌いな女を演じるようにキャロラインを誘導する事に成功したのだ。

そんなリロイが近くにいる状態で、カイネラ邸には簡単に近付けない。
ガリッと音を立てて奥歯が擦れた。
苛立ちだけが募っていく。

それでもルビーやキャロラインから少しずつ情報を集めながら状況を把握していったが、二人の態度も徐々に違和感があるものになっていく。
今まで積み上げてきたものが壊れていく。
二人が、どんどんと良い方向に向かっている事に気付いてゾッとした。

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