婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
(わたしより幸せになるなんて許せない……!もっと苦しんでくれなくちゃ、わたくしが幸せになれないの)

それにあのジュリエットがベルジェに近づく事が一番、許せなかった。
それだけは絶対に阻止しなければならない。

他の令嬢達にも協力を仰いだ。
利用できそうな令嬢達にもジュリエットとの会話内容を都合の良いように弄り、涙ながらに語り同情を誘った。

それからマルクルスの元に向かった。
勿論、誰にもバレないように細心の注意を払っていた。
伯爵に適当に事情を話してから彼の部屋へと向かう。

部屋の中は真っ暗でカーテンはボロボロ、床には鏡の破片が散らばっていた。
そんな部屋の隅に隠れるように座っているマルクルスの姿を見て溜息を吐いた。
声を掛けてもブツブツと何かを呟いているだけ。

二人きりにして欲しいと頼んで、そっと彼の耳元で呟いた。


「貴方に……挽回のチャンスがあるの」

「挽回……?なん、だと………ちがう!違うッ、元はと言えばお前が……!そうだッ!お前のせいでこの僕は!!」

「誰だって間違う事くらいあるでしょう?わたくしはマルクルス様の事を思って言ったつもりだったのに……そんな言い方、酷いわ」

「!?」

「だからこうして貴方を助けに来たんでしょう?」


それだけでマルクルスの瞳に光が宿る。

(ウフフ、馬鹿で良かった……)

そして最後の仕上げとばかりにあの名前を出す。
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