婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情

ーーーパーティー当日。

ジュリエットは朝から慌ただしく過ごしていた。
肌をピカピカに磨いて、内臓が無くなりそうな程にコルセットを締めて、髪を整えて軽くメイクをする。

(何事もなく終わると良いけれど……)

リロイの予想通りにアイカが動いてくれたらいいが、アイカも何をしてくるか分からない。

(気を引き締めていきましょう!)

キャロラインとリロイは自分達よりも早く会場に入ると言っていた。
アイカの動きと状況を確認したいから……と。
もうすぐモイセスとベルジェが迎えに来るので紅茶を飲みながらドキドキとした胸を押さえていた。

ルビーと共に馬車が到着するのを待っていると、なんだか邸の様子が慌ただしく感じた。
様子を見る為に部屋から出ようとすると、目の前で勢いよく扉が開いた。


「ーーーッ、ジュリエット嬢は何処だ!?」

「……ベル、ジェ殿下!?」


いつもの雰囲気とは違い、荒く息を吐き出して汗を拭うベルジェの姿に言葉も出ずに驚いていると……。


「はぁ、はぁっ……待て、ベルジェ……ッ!!」


モイセスが後からベルジェを引き止めるように追いかけてくる。
何故かベルジェに肩をがっしりと掴まれて、驚きに目を見開いた。
真剣な瞳が此方を見たのと同時だった。
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