婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「このままパーティーに出て大丈夫ですか?」

「いや…………」


モイセスの険しい表情を見るに良い状況ではないのだろう。


「絶対にジュリエット嬢から離れない、と言って聞かなくてな……」

「え……?私ですか?」

「あぁ……こうなると普段我慢している反動なのか、願いが叶うまで頑として動かないんだ」

「…………」


ベルジェは「ジュリエット嬢、どこにも行かないでくれ」と言いながら強く此方にしがみついている。


「水は……?」

「飲もうとしない。本当は直ぐにでも飲ませたいんだが……」

「……ベルジェ殿下、お水飲みましょう?」

「分かった」

「え…………?」

「ジュリエット嬢が飲ませてくれるなら飲む……。ジュリエット嬢が飲ませてくれるなら飲む」

「「「……」」」


何故、二回同じ事を言ったのか……。
カッと目を見開きながら力説するベルジェにモイセスが声を上げる。


「ベルジェ、いい加減にっ!」

「良いですよ」

「!?」


ベルジェを椅子に座らせてからグラスを傾けて口に水を流し込む。
ゴクリと喉を飲み込む音を確認してから、もう一口、もう一口と飲ませていく。
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