婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「……ベルジェ殿下、わたしはっ」
「そろそろパーティーにむかっ、向かおうッ」
「今日は、迷惑をかけてすまない……!!カイネラ邸の皆もありがとう。また改めて礼を……」
「あの……っ」
「本当に、すまない……水をっ!もう一杯貰えるだろうか」
こちらの言葉をわざと被せるように話すベルジェに、どう声をかけたらいいか分からなかった。
水を一気飲みして空のコップを置いたベルジェに手を引かれるがまま歩き出した。
そして戸惑う護衛達を引き連れて馬車に乗り込んだ。
完全に酔いが覚めたのか端の方に小さくなって項垂れているベルジェを見ていた。
目が合うと慌てて話題を振りながら一人で話しているベルジェは、いつもの彼へと戻っている。
そしてもうすぐ会場というところでベルジェが静かに頭を下げた。
「本当に、申し訳ない……!今日の事は、全て忘れてくれっ」
「…………!?」
その言葉に目を見開いた。
「ジュリエット嬢には、迷惑を掛けてばかりで……ッ」
「…………本当に」
「え……?」
「本当に、忘れても良いんですか……?」
「ーーーー!!」
そう問いかけると先程まで饒舌だったベルジェはピタリと動きを止めた。