婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
酔った勢いか、嘘か冗談かとも思ったが、やっぱり違うと思った。
いや……そう、思いたかったのかもしれない。
何も答えないベルジェに痺れを切らして瞼を閉じた。


「……ベルジェ殿下の事、ずっと可愛らしくて素敵な人だなと思ってました」

「!!」

「優しくて真っ直ぐで誠実で、一生懸命で思い遣りがあって……いつも楽しそうに話を聞いてくれて」

「ジュリエット、嬢……」

「でも、今のベルジェ殿下は好きじゃないです」

「ーーーッ!」


ベルジェの真っ直ぐな告白はとても嬉しかったのに、気持ちを全て否定された事がとても悲しかった。
前向きな想いが、ぐちゃぐちゃに潰されてしまい悔しいような悲しいような複雑な気持ちになっていた。

それに彼はひたすら謝っていたが、迷惑などではなく違う一面を見ることが出来て嬉しかったのに、それを説明する事すら出来なかった。
一方的で此方を無視したコミュニケーションは普段のベルジェだったら絶対にしなかっただろう。

そんな時、気まずそうな御者が「着きました」と小さく呟いた。


「今の言葉が本当かどうかは分かりませんが、ベルジェ殿下の告白……私はとても嬉しかったです」

「ぁ……」

「行きましょう。皆様がベルジェ殿下を待ってますよ」
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