婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
ぐるりと会場を見回した。
ルビーは幸せそうに微笑みながらモイセスの側に寄り添っている。
モイセスを見つめる甘い視線に令息達も現実を思い知ったのだろう。
会場の端で令息達がどんよりとした空気を纏いながら料理をつついていた。
モイセスはどこか懐かしそうに目を細めているようだが、まだ何か壁があるように思えた。
ルビーとモイセスの二人の関係を最近見ていると、モイセスはルビーの気持ちに気付いているようだ。
それからルビーに対して、どうすればいいか迷っているようだった。
(……もう一押し、頑張って。お姉様)
長年の一途な片思いと、トラウマを抱えた騎士が結ばれる事を祈らずにはいられなかった。
そしてキャロラインとリロイだが、周囲が全く近づけない程の甘いオーラを放っている。
あまりのイチャイチャ振りに通り過ぎる人々は目を剥いている。
色々な意味で激しいカップルである。
そして国王が直ぐ後ろの方でハンカチを噛みながら、何枚目か分からない涙で濡れた布を交換している。
わざとらしく鼻をかむ音は聞こえないのか、二人は見つめ合いながら話をしている。
(これ以上、近付いたら火傷するわね)