婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「フフッ、ジュリエットに会わせたい方がいるの」

「…………」

「貴女が大好きなマルクルス様よ」

「私は話すことはありませんので。失礼します」

「…………逃す訳ないでしょう?」


すると、部屋の出口を塞ぐようにマルクルスが現れる。
以前よりも痩せこけて髪も伸びて、覇気もなくボロボロな彼は、まるで別人のようだ。
目の下に深く刻まれた隈を見て、これはヤバいのでは?と思いつつもマルクルスが此方に近づいてくる度に一歩また一歩と後ろに下がった。


「こっちに来ないで……!」

「お二人でごゆっくり……ベルジェ殿下はわたくしに任せてね。ウフフ」


そう言ったアイカは扉を閉めて嬉しそうに去って行く。
本来なら悲鳴を上げるか、斧を振り回してでも拒否するところだが、これも我慢だとなんとか気合を入れて、フラフラと近寄ってくるマルクルスを避けながら端の方へと逃げていた。


「やぁ、ジュリエット。久しぶり……今日から僕達の関係をやり直そうか」

「っ、やり直しません」

「アイカ様から聞いたよ……!少し強引な位がいいって。確かにそれくらいが丁度いいかもしれない。以前は邪魔されてしまったけど、今度こそは…………君は僕が好き過ぎるあまり、僕の愛がルビー様に向いてしまう事が許せなかったんだろう?」

「……は?」
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