婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
一人でブツブツと一方的に呟いているマルクルスは、何の話をしているのか分からない。
唇を歪めて顔を覆う姿は、とても正気には思えなかった。


「素直になればいいんだよ?ちゃんと責任は取るからさ……安心してくれ」

「…………」

「でなければ僕は!僕は……ルビー様に許してもらえないんだッ」


アイカの甘言に釣られて、ノコノコと付いてきたのだろう。
そして結局は「ルビーに許されたい」と、ジュリエットの前で口にしている時点で終わりだとは思うが、もうどうでも良い事だった。
騎士達が側に居て助けてもらえると分かっていても、マルクルスが迫ってくる事に嫌悪感を覚えた。


「さぁ、ジュリエット!!今から僕とヨリを戻したいと言いに行こう!きっと今からでも間に合う!今日は僕達の再出発の日だ……!」

「…………」

「ジュリエットが許してくれたらルビー様だって、きっと僕を許して下さる!!」


この男の言葉を聞いているだけで苛立ってくるのは自分だけではないだろう。
だんだんと恐怖は薄れて湧き上がる怒りを抑え込むように手を握り込んで堪えていたが、そろそろ限界である。
しかし、マルクルスには色々と話してもらわなければならない。
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