婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「アイカ様に何て言われたのですか?」

「アイカ…………?アイカ様は僕達の架け橋だろう?」

「…………」

「彼女には感謝してやってもいい!今回もわざわざ僕を助ける為に屋敷に来たのだからッ」

「それで?」

「ジュリエットを僕のものにするんだ」


そのアドバイスで破滅に向かっているのだと教えてあげたいところではあるが、この思い込みの激しい性格では先程の令嬢達のようにはいかないだろう。
やはりマルクルスはアイカの捨て駒に過ぎない。
しかしアイカがマルクルスを騙したという証拠を喋ったことは大きな収穫だと言えるだろう。

彼の手が伸びて、肩を掴んだ。
実害も出たところで片手を上げて騎士達に助けを求めようとした時だった。


「ーーージュリエット嬢!!どこに居る!?返事をしてくれッ」

「お待ち下さいっ!ベルジェ殿下」

「アイカ嬢ッ、離してくれ!ジュリエット嬢……!どこだ!?」


部屋の外から聞こえてきたのはベルジェの声だった。
こんなに大声で叫ぶ彼の姿を初めて聞いた気がした。
そしてどうやらアイカと一緒のようだ。


「ベルジェ殿下……?」

「ーーージュリエット嬢!!」


ベルジェの名前を呼ぶと、小さな声が彼に届いたのか、バタンッと勢いよく扉が開いた。
焦った様子のベルジェとアイカの姿が前にあった。

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