婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「な、なんだ……?」


目の前でマルクルスが何事かと声を上げる。
今、マルクルスの手が肩に伸びていて、ジュリエットは合図を出す為に片手を上げている。
客観的に見るとマルクルスに襲われそうになっていて、反撃しようとしているように見えるだろう。

そんな二人の姿を見たベルジェが思いきり目を見開いた。
此方に素早く近付いてきた瞬間……。


「ぐっ…………!!」


マルクルスが後ろに吹っ飛んでいくのが見えた。
それにはアイカと共に目を剥いた。
ベルジェの華麗な回し蹴りで、マルクルスが壁に叩きつけられて体がしなる。


「…………!」

「大丈夫か!ジュリエット嬢……!すまないっ、俺が目を離したばっかりにッ!!」


そんな言葉と共に、ベルジェに抱き締められている事に気付く。
先程まで笑みを浮かべて完璧王子と呼ばれていた彼が、今はこんなにも焦っている。
きっと一生懸命、探してくれたのだろう。
そう考えただけで、嬉しくて胸が締め付けられるような思いがした。
ベルジェの腕の中で安心感にホッと息を吐き出した。
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