婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
アイカが剣を向けた先にはベルジェしか居なかった。
何故ならば、ジュリエットは斧を取りに行っていたからだ。
実際にはジュリエットに向けようとしたのだろうが、ベルジェに向いてしまった。

(これ……!使えるかも)

このままアイカを帰す訳にはいかない。
大きく息を吸って、自らを落ち着かせた後に、アイカに向かって口を開く。


「アイカ様……!ベルジェ殿下に剣を向けるなんて許される事ではありませんわ」

「ひっ……!」


声を掛けると、アイカの引き攣った悲鳴が聞こえた。
しかし、時間が止まったかのように動かない周囲の人達。
ふと過るのは騎士達に連れ去られる自分の姿……。


「あの……正当防衛ですよね!?」

「…………」

「大丈夫ですよね!?」


強めの確認をしていると、返ってきたのは背後からの優しいハグだった。


「ありがとう、ジュリエット嬢……守ってくれた事、嬉しく思うよ」

「……ベルジェ殿下」

「ジュリエット嬢の言う通りだ。アイカ嬢を連れていってくれ」
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