婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
顎に手を当てながら真剣な表情をしているモイセスの姿を見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。
そのまま言葉を待っていると……。
「一度、医師に診てもらった方がいいのではないだろうか?」
「!?」
「何かよくない事があるのではないか?」
「…………。確かに、そうかもしれない」
「すぐに診てもらおう」
モイセスにで本気で心配されたからか、パーティーの後に医師の元へ向かった。
先程、言った事と同じ事を言うと、医師はカタリと聴診器をテーブルに置いて、眉を寄せて此方を見た。
なにか重大な病なのかもしれないと、前のめりになりながら言葉待っていた。
「ベルジェ殿下……大変言いにくいのですが」
「な、なんだ……?」
「…………」
「っ、早く言ってくれ……ッ!!一思いに!」
「…………それは」
「それは!?」
「それは……!!」
「ッ!!?」
「ーーーーただの恋ですな」
「コ、イ…………?」
「えぇ、病などではなく恋です。正しくは恋の始まりです。身体に異常はございません」
「…………」
「モイセス様も、なかなかに鈍いですから……」
「モイセスが……鈍い?」
「えぇ、モイセス様も令嬢達に慕われているのにも関わらず、持ち前の鈍感さド天然で色々とやらかしている猛者ですからな」