婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「…………」

「恋愛相談ならば、別の方をお勧めいたします」

「…………恋」

「両陛下に話してみては如何でしょう?きっと喜ばれますよ。いやはや、あの小さかった殿下もすっかり成長なされて」

「これは、本当に恋なのか……?」

「それを確かめるためにも、もう一度会われてみては如何ですかな?」

「……………」


優しい笑みを浮かべている医師を見て改めて自分に問いかけた。

(俺は……ジュリエット嬢が気になっている、のか?)

自分が『恋』をしているなんて何度聞いても信じられそうになかった。
いつもキャロラインに「お兄様も少しは恋愛の事を勉強しておいた方がいいわよ」と、勧められた令嬢達の間で流行っている恋愛小説も読んではみたが、何処か別世界のように感じていた。

大抵は燃え上がるような恋が多かったが、こんなにも静かに始まる恋もあるのかと不思議な気分だった。

(まさか自分が体験するとは……)

扉の外で待っていたモイセスに医師に言われた事を話すと、いつも表情が動かない彼が目を見開いて驚いていた。


「なんと……!」

「これが、恋だとは思わなかった」

「…………ベルジェも成長したのだな」

「モ、モイセスはどうなんだ?その……恋を、した事は?」

「ああ、一度だけ」

「!!」

「恋だったかは、分からないがな……大切な人だった」
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