婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
それに今もジュリエットと面と向かって話す事を思い浮かべるだけで、じんわりと汗が滲む。


「それは恐らく……ジ、ジュリエット嬢に嫌われたくなくて」

「ですが、連絡もしていないのに嫌うもなにもありませんわ」

「確かに、その通りだと思う。何故かは分からないが、直接……話しかけるのは心の準備が必要だというか。恥ずかしかったんだと思う……」


改めて言葉にして吐き出してみると、自分の気持ちがよく分かった気がした。
カッと顔が真っ赤になるのを片手で覆い隠すように隠した。


「ふふっ……いつも完璧な殿下が意外ですね」

「ジュリエット嬢の前で完璧に振る舞いたかったのかもしれない。カッコ悪いところを見せたくなくて、それでだな……」

「そうでしたの」


ルビーはにこやかに笑った後、静かに頷いた。
やはり今までの令嬢達とは違って、ルビーからは熱い視線を全くと言っていいほど感じなかった。
だから本音で話せたのかもしれない。


「君を巻き込むような形になってしまって……本当にすまなかった」


ルビーに首を横に振って、悲しそうに眉を顰めた。


「わたくしも殿下と同じような理由で、この申し出を受けましたわ。気にしないで下さい」

「それは……」

「実は、わたくしも下心があったのです」

「……ルビー嬢も?」

「はい。だから殿下が謝る事ありません。わたくしの方こそ殿下を利用しようとした事、申し訳なく思っております」
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