婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
それにルビーの妹なので好かれておいて損はないとベルジェなりに気を遣ってくれているのかもしれない。
そして、いつもベルジェの背後に立っている狼のように目付きの鋭い大柄の騎士が歩いてくるのを見て目を輝かせた。


「モイセス様、ご機嫌よう……!」

「ジュリエット嬢は今日も元気だな」

「はい!モイセス様は今日も顔が怖いですね」

「…………そんなことはない、はず」

「あははっ!」

「……この私にこんな風に言えるのはジュリエット嬢くらいだ」

「そうなのですか?」

「あぁ……私が怖くないのか?」

「いえ、全然。むしろ優しさが滲み出てますわ」

「ふっ…………ゴホンッ」


声を漏らして笑った後に照れながら咳払いをするモイセスは、とても優しくて弄り甲斐がある人である。


「…………………」


そして何故か横からジメッとした空気が流れてくる。
モイセスと話しているとベルジェのテンションは下がるような気がするのだが気のせいだろうか。


「ベルジェ殿下……?」

「ジュリエット嬢……聞いてくれ!!俺は……っ」

「ーーモイセス様ッ!いらっしゃっていたのですね」

「……ルビー嬢」

「…………っ」
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