婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「そういえば、この間モイセス様が仰っていたお菓子が手に入ったんですよ!商人に話していたら知っていて、仕入れてもらいました」

「何……本当か!?」

「はい、今日に合わせて用意しておきました」

「……ありがとう。では二人の間を邪魔してはいけないからな。行こうか、ジュリエット嬢」

「いつもの場所でいいですか?」

「あぁ……だが今日はあの酸っぱいお茶はナシだぞ?」

「モイセス様がそう言うと思って、今日はスースーするお茶を用意してあります」

「…………なんだそれは」

「きっと、びっくりしますよ?」

「いつになったら普通のお茶が出てくるんだ」

「私が飽きたらですわ!」

「ははっ……」

「「……………」」


モイセスとジュリエットの間で繰り広げられる温かでスムーズな会話。
ベルジェとルビーはまるで空気のようだったが、いつも人に囲まれて持て囃されている二人には会話に入る方法も、意中の人の気を引く方法も全く分からずに、チラリと目を合わせた後に去っていく二人の背を見送りながら肩を震わせた。

((……このままだと、ヤバい))
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