婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
「そういえばジュリエット嬢は随分と雰囲気が変わったな」

「そうですか?」

「ああ……以前よりも柔らかくなったというか」

「あの時、大切な事を思い出したような気がするんです。目が覚めたというか……」

「あんな目にあったのにか……?」

「え……?」

「愛する人に、裏切られたのだろう?」


いつもとは違い、声に悲しみが混じった気がしてモイセスの方に視線を向けた。
真剣な顔を見て、此方を心配してくれているのだと思った。

ジュリエットはマルクルスに裏切られた怒りや悲しみ、そして今までの我慢を爆発させるように全てルビーへとぶつけた。
そんな彼女の気持ちは分からなくはないし、現実を上手く受け入れられずに感情を爆発させた事は誰しも経験した事があるだろう。

だけど邪魔だからといって傷付けていい訳じゃない。
マルクルスのように人の気持ちを踏み躙り、利用していい訳でもない。

それに見方をくるりと変えてルビーの立場になってみると、また変わってくるような気がした。
ルビーは嫌がらせや自慢をしようとジュリエットに近付いていたのではない。
最近、よくルビーと話していて分かる事だが、彼女はとても謙虚で周りをいつも気遣っている。
そしていつもジュリエットの事を心配している事を考えれば、ルビーは単純に妹を守りたかったのではないのか?
今回のような事が起こらないように……。
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