婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情
まるでこの世の終わりの如く青褪めた顔をしていその場に立ち尽くしているルビーと、それとは逆で顔を真っ赤にして吃りまくっているベルジェが此方を指差しながら何かを伝えようと口を開いたり閉じたりを繰り返している。

そんな様子を見て、二人で目を合わせて首を傾げながら何事もなかったように体を離した。


「はっ……今、いまッ、ジュリエット嬢と……!」

「……?ああ、なるほど」


何を思ったのかモイセスはそっと手を取り「ジュリエット嬢、ありがとうございます」と言った。
それがまるで物語に出てくる王子様のようで「おー」と言いながら感動していた。
モイセスはその反応を見て「何だそれは」と、また笑っている。
どうやらモイセスは葉を取ってもらったお礼をするようにベルジェに言われていると勘違いしたようだ。


「モイセス様、貴族みたいでカッコいいですね」

「……私は一応、貴族だが?」

「プッ……!!」

「おいおい」

「……………」

「……………」


二人は彫刻のように固くなって動かなくなってしまった。
そんな中、モイセスがベルジェに声を掛けた。


「ベルジェ殿下、そろそろ次の公務に向かおう」

「…………。はい」


トボトボと歩いていくベルジェの後ろ姿を見送りながら手を振った後にハッとする。
そして、ある物を持って二人の背中を追いかけた。
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