婚約破棄から始まる悪役令嬢の焦れったい恋愛事情


「あの、ベルジェ殿下……!」

「……?」


今にも泣き出しそうなベルジェが振り向いた後に、いつものシャキッとした姿に戻る。

(可愛いなぁ……)

このわざとなのかと思える程に見え透いた反応が可愛いのだ。
何にショックを受けているのかは分からないが、気にする事なくベルジェにある物を渡す。


「コレ、良かったら……」


ベルジェに渡したのは可愛らしくラッピングされた袋だった。
不思議そうにそれを見つめている。


「モイセス様から聞きました。ベルジェ殿下は甘いものが好きだと聞いたので、私が一番好きなクッキーを……!お口に合うか分かりませんが、どうぞ」

「………ッ!?!?」

「あとモイセス様お気に入りのミントティーの茶葉も入れておきました」

「ぁ……」

「おい、気に入ったとは言ってないぞ?」

「あははっ!」


ベルジェはその袋を見ながら肩を震わせている。
その反応を見て、やはり王太子にクッキーは失敗だったかと思っていた時だった。


「ジュリエット嬢、ありがとう……!」

「…………!はい」

「……大切に食べるよ」


はにかむように笑いながら、ラッピングされた袋を大切そうに持ったベルジェの表情を見て胸がキュンとときめいていた。

(さすが……笑顔も可愛い)

ルビーの手前、迷ったのだが渡して良かったようだ。
モイセスとの会話の大半はベルジェの話だったりするのだ。
そしてベルジェの意外な一面を教えてくれたりするのだが、完璧過ぎる見た目と性格からは想像出来ないギャップにキュンキュンしていた。
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