Forbidden Love~どうか私に鏡を下さい。
意外にも、お城内での散歩は禁止されなかった。
ロザリーさんが部屋に来ることすらなかった。
きっと、私の抵抗なんて、相手にもしてないんだろう。



確かに馬鹿だった。
もっと良く考えるべきだった。
でも、私はまだ諦めたわけじゃない。
生贄になんてされてたまるもんですか!
絶対に逃げてやるんだから!



それからしばらくは穏やかな日々が続いた。
今の状況さえ忘れてしまいそうな快適な日々だった。







「出立致します。」

「え?」



ある朝、突然に、鎧を付けた男性が部屋に来た。
それから私は城を出て、馬車に揺られた。
なぜだか、兵士が何人か馬で同行していた。
森の中の御屋敷で、私は念入りに湯浴みをさせられ、夜遅くに外へ連れ出された。
なんだかすごく嫌な気分だ。
もしかしたら、魔の森に連れて行かれるのかな?
なんで、こんな夜更けに。
私の後ろには、相変わらず数名の兵士が着いて来てる。



「巫女様、ここからはおひとりで真っ直ぐにお進み下さい。」

「え?」

目の前には鬱蒼とした森が広がっている。



「とにかく森の中へ入るのです。決して戻ってはいけません。
戻ろうとなさったら、その時は…」

兵士は後ろに視線を移すと同時に、道の両脇にいた三人ずつの兵士がさっと弓を構えた。
な、何っ!?
戻ろうとしたら、私を射るっていうの?



怖くて足がガクガク震える。
でも、行くしかない。
今、射たれたら確実に死んでしまう。
私は絶対に生き残るんだから!
< 14 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop