Forbidden Love~どうか私に鏡を下さい。
「……すみません。つまらない物しかなくて。」

「い、いえ、大丈夫です。」

私は椅子に座り、パンに手を伸ばした。
固いよ…まるで、石みたい。
勇気を振り絞ってパンにかじりついたら、歯が折れるかと思ったけれど、なんとか歯は持ちこたえてくれた。
どうやったら、こんな固いパンが作れるんだろう?
あ、わざわざこんなに固くしたわけじゃないよね。
いつの間にか固くなったんだよね。



味もないし、飲み込むのも大変だ。
っていうか、そもそも、こんなの食べて大丈夫なの?
消費期限、明らかに切れてるよね?



「あ、今、お水を持ってきますね。」



水のおかげで、少し食べやすくなったような気がした。
ジョゼットさんがこっちを向いてない隙に、パンをグラスに浸してみたけど、乾燥しすぎてて、もはや水を吸わない。
なんてパンだ!
頑張ったけど、半分くらいしか食べられなかったよ。
果物もしなびて、香りもなく、ただ酸っぱいだけだった。



あんなに一生懸命洗濯して、その見返りがこの食事…
なんか、泣きそう。
おばあさんの家に帰りたい。
でも、おばあさんの家がどこなのかもわからないんだから、帰れるわけもない。
おばあさんがお金の工面をして来るまで、ここにいるしかないんだ。
そう思ったら、絶望的な気分になった。
こっちに呼び出されてから、本当にろくなことがない。



(最悪だ……)
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